新築戸建てを建てる③ 窓の話
2016年に新築戸建てを建てました。
パッシブハウスを目指していたので、窓性能には拘っていました。
新築戸建てを建てる②でも述べましたが、断熱性能はもちろんのこと、日射の取り入れ方がパッシブハウスを建てるうえでかなり重要になってきます。いや、本当に。
窓を調べてみると、思っていた以上に奥が深いんだなという印象を受けました。
なので、かなり勉強しました。パッシブハウスを建てる上で、窓を軽視してたら、高確率で失敗すると思います。くどいですが、それくらい重要なアイテムです。
では、順を追って説明していきます。
窓の断熱性能について
家の性能で基本的な重要項目として、断熱性能がまず第一に挙げられます。
(一緒に気密性のことも言われますが、別途書こうと思います)
家の断熱性能が優れていると、家の中の熱が逃げにくく、家の外の熱も伝わりにくくなります。
そうするとどうなるか?
・冷暖房コストが安くなります。
・狙いの室温にコントロールしやすくなります。
窓性能が重要になってくるのは、暖房が必要な季節です。
窓は、壁に比べて断熱性能がどうしても劣ってしまいます。最近では樹脂サッシとかトリプルガラスとかが使われるようになってきましたが、それでも壁の断熱性能よりどうしても劣ってしまいます。
洗面脱衣所の樹脂サッシ、トリプルガラスの窓。こちらをサーモグラフィーで見てみましょう。
我が家で一番断熱性能の高い窓です。
外気温0℃、朝8時にサーモグラフィーで窓を見ると、壁より冷たいことが分かります。
特に、樹脂の窓枠のところは壁より約4℃低い12℃です。
断熱性能で大事なことは、断熱性能の弱い箇所を作らないことという鉄則があります。
どうゆうことかと言いますと、断熱性の弱いところは外気によって冷やされます。
冷やされた箇所は、周囲の空気を冷やします。冷やされた空気は床を伝って動きます。
冷やされた箇所にまた暖かい空気がやってきて、冷やされます。そうやって、空気が動いて室内の空気がどんどん冷やされていきます。
冷たい箇所は、結露してカビが繁殖していくこともあります。アルミサッシなんか顕著ですね。アルミサッシは、熱伝導率が高いので、外気に近い温度まで冷えます。
上の樹脂サッシは枠の部分は約12℃ですが、単純なアルミサッシは2~3℃くらいまで冷えてしまうと思います。
断熱性能の優れた家を建てたいということと、大きな窓を作りたいということは、相反することになってしまいます。
ではどちらかを諦めなければいけないのか?
工夫次第では、そんなことはありません。
冬の場合、断熱性能が特に必要な時間帯は、太陽の熱が得られない日が沈んでいる時間帯です。当然夜は、日中より冷え込みます。
その時間帯は、外が見えないので極論を言えば窓いらないですw
逆に、外から室内が丸見えになってしまうので、カーテンなりブラインドを降ろしてしまいます。
だったら、カーテンなりブラインドには、断熱性能のあるものを使用すればいいのです。
私が選んだのは、いわゆるハニカムブラインドという断熱性能の高いブラインドです。
家の中のブラインドはほとんどこのタイプにしています。両サイドに、断熱レールという隙間が出来ないためのミミ(ガイド)が付いているタイプです。これがかなり優秀でした!
※メーカーによって、商品名は様々ですが、ここではハニカムブラインドと表現します。
窓の断熱性能が低い問題点をハニカムブラインドがしっかり補ってくれています。
あと、ハニカムブラインドに照明が当たったときに出来る陰影がとてもいい雰囲気で気に入っています。
ただ、ハニカムブラインドにも欠点があります。
・小さなやんちゃな子供がいると破壊される恐れがある。
・風が強い日に、ブラインドを半分下げた状態で窓を開けると、風に押されて両サイドのミミ(ガイド)からハニカムブラインドが外れてしまう(手で直せるけど、イラっとする)
ちなみに、ハニカムブラインドの上にFIX窓(はめ殺しの窓)があります。
こちらはでトリプルガラスかつ、樹脂枠を壁の中に隠しています。そのおかげか、断熱性能は高いです。
2016年のクリスマスの夜中の勾配天井横にあるFIX窓のサーモグラフィー画像。ガラス面の温度は、壁温度とあまり変わらないです。
シンプルなFIX窓は断熱性能も確保しやすいんですね。
窓断熱のポイント
・窓の断熱性能は壁より劣る(特に掃き出し窓)ので、断熱性能のあるブラインドを併用する。
・窓には樹脂サッシを使う。ガラスはペアガラス以上。断熱性能のあるブラインドを併用するなら、トリプルガラスにする必要はない。(後にペアガラスの利点も説明)
窓の日射の取り込みについて
南面の窓は、冬に日射を取り入れられるように設計すると、日中部屋が暖かくなります。
そのために開口を大きくするのもアリだと思います。
ただし、夏は日射が室内に入らないように庇を計算して設計してもらう必要があります。
夏に日射が入ってくると、地獄ですよ。それくらい太陽光の影響は絶大です。
庇の設計が適切かは自分でも計算することが可能です。
ke!sanというサイトで、家を建てる場所の時間毎の太陽高度と方位を調べることが出来ます。
太陽高度と方位が分かれば、あとは庇の高さと奥行、窓高さからどれくらい日光が部屋の中に入るか計算することが出来ます。
ただ、狙いの庇の設計をしてくれないところもあります。たとえば、工場で家の大半を作り、現場で組み立てるようなメーカーは難しい気がします。
実際どこに家を建ててもらうか何社か検討しているときに、○○○○ハイムに庇の希望を出したら、出来ないと言われてしまいました。ハイム独自の規格品しかなくて、ちょうどいい庇がないんです(小さい!)
そうゆう場合は、外構屋さんに作ってもらうことになりますが、自分で最適な庇高さと奥行を計算しなければならない可能性があります。
外構屋さんは計算してくれないところが多い気がします。
さて、夏日射が部屋に入らないように庇が設計出来たら、次は窓ガラスの種類を選択します。
最近はLow-Eガラスが主流です。
Low Emissivity(低放射) の頭文字をとってLow-Eと呼ばれており、複層ガラス(ペアガラス以上)の内側に特殊な金属膜がコーティングされています。
このコーティングが熱の放射を反射してくれます。
このLow-Eガラスも色々種類がありますが、大きく分けて遮熱性能(赤外線の熱を反射)が高いタイプと低いタイプがあります。
冬に暖かい家を作ろうと思ったら、日射は有効に取込まないと損です。したがって、遮熱性能の低いタイプを選びます。
右のタイプが冬には有効です。
そして、図からも推測できると思いますが、日射熱を取り入れるにはトリプルよりペアガラスが有利です。
もっと詳しく見てみましょう。Low-Eガラスにも種類があり、エクセルシャノンの窓を参考に、両極端なものを紹介します。(ペアガラス)
こちらは、一般的に採用されるタイプ。ガラスの色が斜めから見ると緑色に見えます。
UVカット率は87.2%と高いですが、日射取得率は39%と低いです。
こちらは、指定しないと採用されることはないかもしれません。UVカット率は55.2%と低めですが、日射取得率は74%と高いです。
窓ガラスの選択一つで、せっかく部屋の中に日光が入るように設計してもらっても、暖かさが全く異なってしまうんですね。
私は、リビングの南側の窓にはエクセルシャノンのCVDクリアというものを採用してもらいました。
ただし、CVDクリアには次の2つの欠点があります。
①UVカット率は55.2%と高くない。
部屋の中の家具とかフローリングが日焼けしやすくなってしまいます。
紫外線はいいことないので、UVカット率は100%にしたいところです。
②可視光透過率が高いため、外から部屋の中が見えやすい。
車で例えると、車内ってガラスで遮られて見えにくいですよね。
CVDクリアは、グリーンタイプより部屋の中が見えやすいように感じました。
欠点の対策方法はあります。
①はUVカットフィルムを張ること。UVカット以外の機能のない透明度の高いタイプを選ぶことがポイントです。そうすることで日射取得率をほとんど下げずにUVカット率をほぼ100%にすることが出来ます。
また、ガラスが割れたときに飛散しないので、防犯対策にもなります。
泥棒はフィルム付き窓を非常に嫌うそうです。
私は3Mの飛散防止フィルムを30mロールで購入し、DIYで自分で貼りました。
そんなに難しくありません。
②は目隠しとなるものを窓の前に置くことです。柵とか植木とか。
我が家はグリーンカーテンと植木で目隠ししています。
窓の日射取り込みのポイント
・日射熱取得率の高いタイプのLow-Eガラスを選択する(例:CVDクリア)。
・トリプルガラスより、ペアガラスのほうが日射熱取得率が高いので、ペアガラスを選択する。
こんなところでしょうか。
参考になりましたら幸いです。
それではまた!