ロードバイクをピストバイクに改造DIY
2011年の過去DIYです。
普段使い出来る、超シンプルでエネルギー伝達効率(消費エネルギーを推進力に変換する効率)の良い自転車を組みましたので紹介します。
きっかけは、とあるサイクリングイベントに参加中に車と接触して、ロードバイクのカーボンフレームが割れてしまったことが始まりです。
過失が10:0で車が悪いということになったので、自転車は全損扱いで購入代金分頂いたのですが、私のロードバイクのフレームはもう二度と入手できないモデルのものでした。
今は無き、MBKのRD1000というモデルです。ツール・ド・フランスで活躍したフレームでもあります。
ハンドルのコントロール性が抜群に良く、独特のデザインがとても気に入っていただけに、ショックも大きかったです。
フレームを捨てられずに保管して1年経ったくらいの頃に、カーボンを修復できるお店があることを知り、喜んで電話して修理をお願いしました。
カーボンが割れて修理いただいたのは、写真赤丸のところです。チェーンステーの付け根のところが左右共に割れてしまいましたが、綺麗に直してくださいました。
AMANDA-SPORTSさん、ありがとうございました!12年経った今でも本当に感謝しております。
このときすでにロードバイクは買い直してしまっていたので、このお気に入りのロードバイクのフレームを使って、究極の普段使い用の自転車を組んでみようと思ったわけです。
私にとっての究極とは、以下のことが網羅されてることです。
自転車に求めること
① 疲れない(エネルギー伝達効率が良い)
② 軽い(持ち運びが容易)
③ メンテナンスが楽(整備が不要もしくは簡単、壊れない)
④ 鞄の持ち運びが容易
⑤ 靴、服装を選ばない
① 疲れない(エネルギー伝達効率が良い)
例えば、電動アシスト自転車は上り坂でもスイスイ登れて疲れません。初めて乗るとあまりのペダルの軽さにビックリすると思います。
電動アシストがなくても、坂が楽に登れてしまえばいいわけですよね。
伝達効率の良くて、軽い自転車にしてしまえば、坂も楽に登れるようになるはずです。
② 軽い(持ち運びが容易)
重たい自転車、面倒くさいです。
ママチャリとか、駐輪場で自転車の位置をちょっとずらすために持ち上げるも苦労します。
電動アシスト付き自転車はもっと重たくて大変です。
私は旅行先に自転車を持っていきたいくらい自転車が好きなので、車に積んだり新幹線や飛行機にも自転車を持ち運びします。
軽いことは超重要です。
③ メンテナンスが楽(整備が不要もしくは簡単、壊れない)
メンテナンスを楽にするには、シンプルにすることです。
なくても自転車として成立するパーツは思い切って取り外してしまいます。
例えば、変速機構。ロードバイクは20段とか22段変速とかです。
上記①がクリアできれば、変速機構がなくたって上り坂も楽に登れるようになるはずです。
④ 鞄の持ち運びが容易
ママチャリにはカゴが付いています。
カゴに鞄を入れたりできて、便利だったりします。
でも段差で自転車が跳ねるとカゴの中で鞄が暴れてしまいます。
カゴがなくたって、鞄を肩から掛ければいいじゃんと思うかもしれませんが、片掛けの鞄だと、自転車に乗るとやや前傾姿勢になるので鞄が胸の前にきてしまい、ちょっと邪魔だったりします。
意外と鞄の持ち運びが不便だったりします。(私だけ?)
鞄を自転車に取り付けられるようにすれば便利になると考えました。
⑤ 靴、服装を選ばない
普通の人は、何を当たり前のことを。と思うでしょう。
ロードバイク乗りは、専用の靴を履く人も結構います。
まず、どんな靴かというと、ペダルと合体する靴です。
普通の靴だと、踏んだ時にしかペダルに力を伝達出来ませんが、靴とペダルが合体するとペダルを引くときにも力を伝達出来ます。
何が嬉しいかというと、太ももの表だけでなく裏の筋肉も効率よく使えるようになるんですね。
つまり、SPD-SLといったような専用のペダルを使います。
専用ペダルは、普通の靴ではちょっと漕ぎにくいんですよね。
じゃあ専用靴を履いて、普段着でロードバイクに乗るかというと、そんな人は見たことがありません。
本気のロードバイク乗りは、普通のペダルを付けてる人は少数なのです。
ロードバイクをスポーツとして乗るのをやめても、SPDペダルから普通のペダルに変える人は少ない気がします。
そうすると、ロードバイクに乗らなくなってしまいます。
勿体ないから、ペダルを変えて普段使いに使いましょう!
さて、毎度のことながら前置きが長くなってしまいましたが、私の自転車を紹介します。
上記条件を概ね満たした、とてもお気に入りの自転車です。
ロードバイクを改造して12年経ち、約3~4万キロ乗っていますが、とくに不具合もなく乗り続けています。
何度か他の記事にも登場している自転車ですが、こちらがロードバイクをピストに改造した自転車です。
自転車の重量は7.6kg(鞄を除く)で、指1本で持ち上がります。
ホイールも軽量、高剛性なので、よほどの激坂でなければシングルギヤでも楽々上ることができます。
フロントがMAVICのキシリウムエリート、リヤはMAVICのオープンプロのリムにサピムのスポーク、ホワイトインダストリーズのエキセントリックハブで自転車屋さんに組んでもらいました。
このエキセントリックハブは偏心カムになっていて、チェーンテンショナーがなくても適切なテンションに調整できます。
そして両側にフリーコグと固定コグを取付けておくと、タイヤをひっくり返して使い分けることが可能です。
クランクとBBはピスト用デュラエースの7600を選びました。
当時ヤフオクでお安くゲットできまして。
歯数はフロントは49T、リヤは18Tなので、平地としてはやや重めでしょうか。
ケイデンス90rpmで30.8km/hになる計算です。
昔は通勤時に、男子高校生に上り坂でしばしばバトルを挑まれていましたが、あまり立ち漕ぎせずとも負けることはありませんでした(`・ω・´)
今は在宅勤務か出張のどちらかですからね。めっきり通勤に自転車を使う機会がなくなってしまいました。寂しいものです。
ペダルはAmazonに色々売ってます。
滑り止めのピンが付いていている大きめのペダルがおススメです。
このタイプだと、ペダルを引くときに力を入れても滑らないんです!
SPD使ってた人なら、この重要度がよく分かるかと思います。
私が4年ほど前に見つけて、買い替えたのは下記リンクのものです。
滑り止めピンが自分のスニーカーには長すぎたので、グラインダーで2㎜ほど削った覚えがあります。
ペダルはあちこちぶつけてしまうので、傷が目立たないシルバーがおススメです。
そして私が今買うなら、リフレクター付きのものを選びます。
車からの視認性が全然違います!安全性は大事ですよ!!
メンテナンス性については、変速機構を取ってしまったので、非常に楽になりました。
変速のワイヤーテンション調整も不要になりましたし、シフターも不要です。
当然、リヤディレーラーに付いていたチェーンテンショナーもなくなったので、フリクションが軽くなります。チェーンも短くなりましたし。
つまり、エネルギー伝達効率が良くなるということです。
そして変速機構を排除することで嬉しいことがもう一つ。
私は旅行や出張時、新幹線や飛行機にも自転車を輪行で持ち込むことがあります。
軽いし、変速がないから輪行で調子が悪くなる心配もありません。
自転車の輪行で一番よくある不具合は、リヤディレーラーをどこかにぶつけてしまい、変速の調子が悪くなることなのです。
ちなみに、折り畳み自転車と比較しても、何ら遜色がないくらい持ち運びが楽です。
なぜなら、ホイールをワンタッチで脱着できるので。
一般的な折り畳み自転車と比較して、圧倒的に軽いのでこちらのが楽かもしれません。
鞄については、ワンタッチで脱着できるようにハンドルに細工がしてあります。
そのうちもう一工夫して特許でも取ろうかなと思ったりもしているので、機構はちょっと内緒です。
自転車から降りたら、鞄を外して持ち歩く仕様です。鞄の中には自転車用の鍵とかライトが常備されています。
(リュック背負っているときは鞄は付けません)
あとはサドル下にパンクしたときのための予備チューブとちょっとした工具が収納してあります。
これがあれば、突然のパンクでもその場で30分で直すことが出来ます。
以上が私の自転車の紹介になります。
もしロードバイクに乗らなくなってしまったら、普段使い用にぜひ改造してみて下さい。
ペダルを交換するだけでも、普段使いとしては格段に使いやすくなるはずです。
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ここからは、全くの余談ですので暇な方だけお読みくださいw
私は究極の自転車というか、究極のモビリティーに興味がありまして。
究極と言っても、何が究極なの?って話ですが、
僅かなエネルギーで普段使い出来るモビリティーを構築するというのが私の夢です。
例えば、通勤でもどこかに買い物に行くにしろ、乗り物に乗って移動するときって一人の時が多いと思うんですよね。
なのに乗用車で移動する場合、車重はセダンの場合だと約1500kgです。一人(約60kg)が移動するのに1500kgの重さのもので移動するって、何て無駄が多いんだろうと思ってしまうのです。
まあ乗用車は数百kgのものを載せて走ることも出来るので、素晴らしいモビリティーであることは間違いないです。
でも一人で移動するときに特化した、エコで普段使いできるモビリティーがもっと普及してもいいじゃないかと思っちゃうんですよね。
買い物カゴ一つ程度の荷物が載せられて、雨風が凌げて、車重が100kg未満のモビリティー。
そして人力とモーターのハイブリッド!
それが私が考える、現在の技術で構築できるであろう究極のモビリティーです。
世の中には同じことを考えていて、行動に移している凄い方もいらっしゃいますが、なかなか流行りません。なぜなら、道路交通法とかインフラがマッチしないから。
なんだかなーと思ってしまいます。
モビリティーはもっともっと多様化するべきだと思います。
それが出来ていないから若者の車離れが~なんて話が出てくるのではないかと。
さて、移動するときのエネルギー効率を比較した面白い資料を見つけました。
どうも古い資料のようですし、自転車とかクルマの重さ設定に少し違和感を覚えますが、なんとなくの相対比較として見て頂ければと思います。
数値が低いほうがエネルギー効率がいいということになります。
この中で比較すると、ぶっちぎりで自転車のエネルギー効率が優れていることが分かります。
60kgの人が10㎏の自転車を1km移動するのに必要なカロリーは、
70kg×0.15=10.5kcalです。
一方、1500kgの車を1km移動するのに必要なカロリーは、
1500kg×0.8=1200kcalです。
つまりこの表を根拠に計算すると、自転車に必要なエネルギーは車の約1/114であるということになります。
意外なのが、人のエネルギー効率は犬の2倍優れているということです。
犬と一緒に走ると、人間の方が圧倒的に疲れちゃうんですけど、体重あたりの消費エネルギーは犬の半分ということになるようです。(体重50kgの人の場合)
へぇ~( ゚Д゚)
ちなみに自転車は、50kgの人が10kgの重さの自転車に乗ったときのエネルギー効率を表現しているようです。
ママチャリですと16~20kgくらいあるので、スポーツ自転車で試算している気がします。
自転車がエネルギー効率が非常に優れたモビリティーであることが分かりましたが、自転車もピンキリです。
過去にママチャリ耐久レースというのに参加したことありますが、ミニサーキットをママチャリで1周走るのは、ロードバイクで5周走るよりしんどかったです。
そこで、自転車の中でも最もエネルギー効率の良い自転車を構築しようと思い立ったわけです。
一番大きな変更点は、変速を取っ払ってしまったこと。
20段変速からシングルギヤ化です!
ディレーラーって、チェーンを適切なテンションに保つために常にチェーンを引っ張っています。テンショナーと言われる機構です。そしてその分チェーンも長くなります。それって抵抗になってるんじゃないかなーってずっと思っていました。
結論は、結構な抵抗になっていたようです。
ロードバイクをシングルギヤに改造して、鈴鹿サーキットの2hエンデューロに参加してみましたが、20段変速仕様のときと順位はほとんど変わりませんでした。(100位/600人くらい)
こちらが20段変速仕様のロードバイクでの鈴鹿エンデューロの様子。
こちらがシングルギヤのピスト仕様での鈴鹿エンデューロの様子。
分かりにくいですが、変速がないのでハンドル周りがスッキリしているのが分かると思います。
ペダルはさすがにSPD-SLを付けて走りましたw
鈴鹿サーキットは、高低差50mくらいあるので、登りは超しんどいです。
自転車競技の場合、逆走になるので1コーナーからシケインまで長くて辛い坂が終わったと思ったら、西ストレートからスプーンカーブまでまた激坂が現れる訳です。
最初の数周は体力がまだあるので全く苦ではないですが、終盤はコース設計した人を恨みたくなるくらい地獄ですw
変速がないので、平地用に最適化したギアで上り坂を登るしかなわけですが、エネルギー伝達効率が良いせいか、周りのロードバイク達をどんどん抜かすことが出来ます。(しんどいですが快感でしたw)
ただし、下りになるとギヤを重くすることが出来ないので無茶苦茶速く漕がなきゃいけません。
リズムが崩れてくるため、スピードが45km/h以上になると漕ぐのを諦めるので、抜かれますw
つまり、登りで抜かして、下りで抜かれてプラマイゼロという結果でした。
常識的に考えると、上り坂は軽いギアで走って、下り坂は重いギアで走ったほうが適切なケイデンスで走れるので疲れにくいです。ずっと同じギアで走ると疲れるのが早いため順位が落ちるはずです。
変速がなくても順位が落ちないということは、変速機があることでエネルギー変換効率の低下を招いていたということになります。
ちなみに使用していたコンポーネントはすべてデュラエースでした。
話をまとめますと、
究極のモビリティーは、軽くてシンプルであること。
そう思えてなりません。