BMW 420i F36のウォーターポンプ交換
ウォーターポンプのカシメてある部分からLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれるエンジン冷却水が漏れていることが判明し、ウォーターポンプを交換しなければいけないことが判明したので、DIYでの作業内容を紹介します。
こういった作業は、適切な道具と適切な手順の情報があれば難しくないのですが、そうでなければ難易度は爆上がりです。
とういうこで必要な道具と手順を「簡単に」紹介します。(つまり雑です)
さて、まずは毎度どうでもいい前置きからw
嫁様の乗る420iを7年目の車検の時期なので、ディーラーに車検見積もりを出しました。
ちなみに、私の乗っているインプレッサはもう23歳ですw
話を戻しまして、車検見積もりの結果は何と総額50万円ほど。
インプレッサは散々自分でいじり倒していて、ユーザー車検にしかしたことがないので、ディーラーの車検相場とか良く分かりませんが、ユーザー車検だと6.5万くらいですよ。
自分で液モノ交換してもブレーキパッド交換を追加しても全部で12万くらいですよ、奥さん!
50万円ってマジですか!?
5年目まではBMWが消耗品を無償交換してくれる、BMW サービス・インクルーシブに入っていたこともあり、そんなに高くなかったんですが、それにしたって爆上がりです。
詳細を確認してみると、ウォーターポンプからLLC漏れがあり、ASSY交換が必要なことと、ATのオイルパンからオイルが滲んでいるので、ATのオイルパンの交換とATFの補充が必要であることが金額爆上がりの主要因のようでした。
それ以外の作業もまあまあ高いです。
例えばエアコンフィルターの交換が部品代と工賃で約14,000円。
別記事で紹介していますが、自分でやれば2000円で出来ちゃったりもします。
ただし、フィルターは社外品の安いやつですけども。
外車ディーラーは特に、整備をお願いするとお金が掛かります。
ぼったくっているかというと、必ずしもそうではなくて、色々と投資にお金が掛かっているので、どうしても割高になってしまいます。そのあたりはブランド料と言えなくもないかもですね。
純正の部品代も数が少ないし輸入になるので高いですしね。
ディーラーの見積もり額が高いことに一定の理解は出来るものの、自分で整備できる道具も知識もソコソコある身としては、今回の見積もり額はたじろぐ価格でございました。
そういったわけで、ディーラーには自分で修理させて下さいとお願いをし、厚かましくもネジの締め付けトルクと、この車特有のLLCのエア抜き手順なんかを教えてもらいました。
そして、整備に挫折したらディーラーがサービスで積車で引き取りに来てくれるとのこと。
いやいや、手厚いバックアップ体制まで用意いただきまして。
自分でやらせてと言っておいて、積車でドナドナされることになったら恥ずかしいですね。それだけは避けたいところです(/ω\)
さて、それでは作業していきます。
本記事の目次
① 修理に必要な部品と道具選定
② 交換作業
③ LLCのエア抜き手順
④ 作業性と難易度、DIYでの費用など
① 修理に必要な部品と工具選定
まずはLLCの漏れ部の確認とディーラーの見積書の内容を確認していきます
まずは下からのアングルでウォーターポンプを見たところ。
赤丸で囲ったところに、青カビのようなものがビッシリこびり付いています。
なんか気持ち悪いですねw
これは漏れたLLC(ロングライフクーラント)が乾いて結晶化したものです。
ディーラーの整備士曰く、B48エンジンのウィークポイントの一つで、ウォーターポンプ本体を交換するしかないらしいです。
分解後に漏れ部の写真をご紹介します。
次にディーラーの見積もり内容から必要な部品と品番を確認します。
ボルト2本というのはどこのことか分かりませんが、ボルトは再利用可能なので不要です。
ただし、しっかり洗浄してから使用します。
プーリーは特に損傷している様子もガタつきもないので再利用します。
クーラント ポンプというのが、俗に言うウォーターポンプになるので品番のものを発注します。電動ウォーターポンプではないし、構造も単純なので互換品でもいいかな。
ということでチョイスしたウォーターポンプはこちらです。
ボルト ロック 中強度というのは、3本のプーリーボルトのネジ部に塗布する、ボルトの緩み防止剤ですが、ロックタイト243がそれに相当します。
持っているので手配不要でした。
ちなみに、純正品よりネットで安く購入可能です。
エンジン冷却水というのが俗にいうLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれているものですが、防錆と凍結防止効果があります。これは国産車とは成分が異なるのでカー用品店で売っているものではなく、純正品をネットで手配します。
LLCは全部抜くわけじゃないので、純正を補充する必要があります。
B48エンジンの420iのLLC容量は約9Lですが、ウォーターポンプを交換するくらいなら全部抜くわけじゃなくてせいぜい半分程度抜けるくらいなので、50%希釈の1.5Lを2本購入しました。
次に交換作業に必要な道具を紹介します。
実際に使用した作業工具は後程、作業写真などでも紹介します。
M6のネジを脱着しますので、ラチェットハンドルとロングエクステンション、10mmのソケット、トルクレンチが必要になります。
補器ベルトのテンショナーを緩めるためには、ラチェットハンドルかもしくはスピンナーハンドル(柄の長さが250mm以上が望ましい)と16mmのソケットが必要になります。
あとはLLCのホースを外すための刃先が4mm程度のマイナスドライバー、外したホースから出てくるLLCを受けるジョウゴとホース、容器など。
必要な道具はこれくらいでしょうか。
② 交換作業
まず最初に、交換部分をよく観察します。
そして問題箇所をしっかりチェックした後に、私の場合はエンジンルームを高圧洗浄機で水をぶっかけて汚れと砂埃を除去しちゃいます。
油汚れがあるところは、マジックリンと洗車ブラシを使ってきれいにします。
上のリンクの洗車ブラシはかなりおススメです。
色んなところに使えます。中くらいの硬さのブラシは浴室用にしています。
その他、キーボードを掃除したり、水槽を掃除したり、もう綺麗好きには刺さる商品なんじゃないでしょうか。
話を戻しまして、高圧洗浄機で洗って壊れないの?と言われそうですが、壊れません。
カプラーとかオルタとかはあまり濡らさないほうが無難ではあります。
また、ヒューズBOXの中は濡らしてはいけません。
心配な方は、エンジンルームが乾いてからエンジンを掛けるようにするといいかもしれませんね。
私の場合は、高圧洗浄機で洗い流した後、エアブローして終わりですw
私が使用しているのは上のリンクの商品ですが、探すと色々あると思います。
充電式のエアダスターはかなり便利です。机やパソコンの埃除去、ルンバの掃除、掃き出し窓のレールの掃除などなど、色んな所で活躍しています。
本題の作業ですが、いきなりウォーターポンプを外すと、LLCがダダ洩れになってしまいます。
なので、まずはLLCを抜く必要がありますが、アンダーカバーを外してもクーラント用のドレンコックが見当たりませんでした。通常、ラジエターのロア側に付いているんですけど、ないんですよね。そもそも交換が不要な前提なのでしょうか???
いや、防錆効果って劣化して徐々に低下してくると思うんですけど、そんなに高性能になったってことなんですかね?
いずれにせよドレンコックがないので、ホースを抜いてLLCを抜いていきます。
抜くホースは写真に示す2ヵ所です。
まず、①のホースを抜いてLLCが出なくなったら次に②を抜きます。
ホースは、ロック機構を刃先4mm程度の細いマイナスドライバーで解除すると、簡単に抜けます。
こんな感じでロックを解除します。
そのままホースを抜くと、LLCが床にダダ洩れになりますので、LLCを受けるジョウゴと容器を準備しておきます。
ジョウゴはセリアで買いました。これが使いやすいんです。
ホースはホームセンターで切り売りしています。
私は5LピッチャーにLLCを回収しました。これだと、目盛が付いているのでLLCがどれだけ抜けたか確認しやすくて超便利です。
このジョウゴを抜くホースのすぐ下にセットして、LLCを床にこぼさないように回収します。
ホースを抜いたら、硬質フェルトのようなカバー(上の写真で手の甲に触れてるやつ)を外します。グロメットで4カ所ほど止まっているだけなので、マイナスドライバーなどでグロメットを抉れば簡単に外れます。
カバーが外れたら、いよいよウォーターポンプを外していきますが、まずは水色矢印のM6プーリーボルトを軽く緩めておきます。
(ベルトにテンションが掛かっているので、まだボルトを外してはいけません!)
プーリボルトを軽く緩めたら、赤丸の六角の突起に16mmのソケットを掛け赤矢印方向にスピンナーハンドルなどで回すと、テンショナーがオレンジ方向に動き、ベルトが緩むのでベルトを外します。
私はプラグソケットを使いましたがココのサイズは何で16mmなんでしょうね。
16mmというサイズは、車両で使用するサイズとしては珍しいです。
柄の短いラチェットで回そうとすると、かなり苦戦すると思いますので、ご注意ください。
スピンナーハンドルとは上の写真の工具です。柄が長いので、力がかかりやすいです。
ラチェット機構はありません。
これは組付けが終わった後に撮影したもので、エクステンションが付いてますが、実際はエクステンションを使わなかったような気がします。。。
ここから分解後までは写真を撮り忘れたので、端折りますが、ウォーターポンプのボルトを5カ所外すと分解出来ますが、固着しているのでボルトを外した後は、木の棒などでウォーターポンプを軽くコンコンと叩くと外れます。
こちらが外したウォーターポンプと新しいものの比較写真。
カシメてある箇所から漏れているのが分かります。
何でこんなところがカシメてあるのか分かりませんが、なんだかなーですね。
ウォーターポンプに付いている黒いパーツは新品に移植します。
念のためゴムパッキンの所には、密着性を良くするためにうすーくラバーグリスを塗っておきます。
ラバーグリスはゴムへの攻撃性がなくて、馴染みやすくなります。
私はトヨタ純正のやつが、高粘度で好みです。
組付けは、分解と逆の手順ですが、締め付けトルクはウォーターポンプ本体は10Nです。
プーリーボルト3本はネジ部のネジロック剤を少量塗布して、まずは仮締めします。
その後ベルトを組付けた後にトルクレンチで8Nで本締めします。
ネジロック剤を塗布した後、1時間程度で硬化してしまうので、素早く本締めまで行います。
締め付け部の部材はアルミ材なので、くれぐれも締め付け過ぎないように注意して下さい。
締め付け過ぎると、座面が座屈して逆に緩みやすくなることもあります。
ボルトを再利用する場合、事前にパーツクリーナで脱脂洗浄しておくことをおススメします。
ボルトに汚れが付着していると、摩擦係数が変わってしまい、軸力が管理値から外れてしまうことがあるのです。
知らない人も多いですが、地味に重要です。摩擦係数と軸力。
さて、組付けが終わったら次はLLCの補充です。
私の場合、抜き取ったLLCは4.8Lくらいでした。
ピッチャーに回収したの4.5L、ジョウゴに受けられずにこぼしてしまった量がざっくり0.3Lくらいです。
なので5L弱補充できればOKという計算になります。
手配したLLCは、50%希釈のものなので2.5Lを50%希釈して5L用意して補充していきます。
③ LLCのエア抜き手順
LLCは最初、ラジエターホースとかをモミモミしても補充口横のエア抜きドレン緩めても4L程度しか入りません。
残り1L弱は、エンジンをかけてLLCを循環させてエア抜きをする必要があります。
エア抜き手順は、次の通りです。
1.イグニッションをオンにする。
2.サイドブレーキを引き、Pレンジであることを確認する。
3.ロービームおよびハザードフラッシャーのスイッチをONにする。
4.ドライビングモードスイッチがECO-PROモードの位置にないことを確認する。
5.ヒーターを最大温度に調整し、ブロワーを最低風量に調整する。
6.アクセルペダルを10秒間ストップ位置(一番奥)まで押す。
7.冷却システムのエア抜き作業をスタートさせる。(システムが、エア抜きモードに入る?)
8.その後、エンジンを始動させる。
9.アイドリングが1200rpmに上がる。(1200rpmで安定する)
10.
1.イグニッションをオンにする。
2.サイドブレーキを引き、Pレンジであることを確認する。
3.ロービームおよびハザードフラッシャーのスイッチをONにする。
4.ドライビングモードスイッチがECO-PROモードの位置にないことを確認する。
5.ヒーターを最大温度に調整し、ブロワーを最低風量に調整する。
6.アクセルペダルを10秒間ストップ位置(一番奥)まで押す。
7.冷却システムのエア抜き作業をスタートさせる。(システムが、エア抜きモードに入る?)
8.その後、エンジンを始動させる。
9.アイドリングが1200rpmに上がる。(1200rpmで安定する)
ここから、自分でアクセルペダルを踏んで操作します。
10.アイドリングが上がって(1200rpmに安定して)から1分後
- 10秒間約3000rpmまでアクセルを踏む
- アイドリング10秒
- 10秒間約3000rpmまでアクセルを踏む
- アイドリング10秒
- 10秒間約3000rpmまでアクセルを踏む
- アイドリング10秒
- 10秒間約3000rpmまでアクセルを踏む
- アイドリング10秒
- 10秒間約3000rpmまでアクセルを踏む
11.エンジン始動後約11分後に高温冷却システムのエア抜き作業が終了する。
12.エンジン回転数がアイドリング回転数に低下する。
13.エンジンを停止する。
14.エンジンを冷ます。
15.高温用クーラントエクスパンションタンクのクーラントレベルをMAXに合わせる。
16.高温用クーラントエクスパンションタンクのキャップを矢印マークが並ぶように合わせる。
以上で終了です。
これは、電動ウォーターポンプではない場合のエア抜き方法ですのでご注意下さい。
電動ウォーターポンプの場合は、もっと簡単なはずです。(調べてないけど)
④ 作業性と難易度、DIYでの費用など
420i F36の作業性はかなり良いと思います。
整備性を考慮した設計をされているなと感じます。
これは凄いことで、年々複雑化していくエンジンルームの整備性を確保することは、なかなか難しいのです。
おそらく、車の整備を本業にしている人は、整備性が悪い車にブチ切れた経験もあることでしょうw
整備性の良いこの車両でのウォーターポンプの交換の難易度は、適切な工具があれば中程度です。
私がウォーターポンプ交換に要した作業時間は、人生初の経験ですが3時間程度でした。
(車の構造などの知識は持ち合わせていますので、素人というわけではありません)
さて、私が自分でウォーターポンプを交換した費用は、最低限の部品代で約2.7万円でした。
純正ウォーターポンプを手配した場合ですとプラス1万円くらいです。
ディーラーにお願いすると部品代と工賃含め、約9.1万円の見積もり額でした。
自己責任というリスクを考慮して、費用をご判断下さい。
以上、皆様の参考になれば幸いです。
それではまた!